2023年1月16日
リバースモーゲージ
【FP解説】リバースモーゲージの金利相場は?変動金利のリスクや基本知識もくわしく解説

リバースモーゲージに興味を持った人にとって、最も気になることの一つが金利です。終の棲家である自宅担保に入れて、資金を調達するシステムのため、返済への心配が高まるのも当然です。そこでリバースモーゲージの金利の相場や、その金利のシステムもできるだけわかりやすく説明しました。リバースモーゲージが採用している変動金利は、どんなリスクがあり、何を元に金利が決まるのか知り不安を解消してください。

リバースモーゲージの金利相場

リバースモーゲージは住宅を担保にした貸付なので、金利は非常に重要です。住宅ローンを組んだことがある人は、金利によって負担が大きく変わることを実感していると思います。

さて、民間が運営するリバースモーゲージは、サービスを提供する金融機関などによって金利が変わります。だいたい年利4%前後、3.5%~4.5%ぐらいの範囲が多いようです。ただ注意してもらいたいのは、金利が高い代わりに手数料が無料になっているなど、金利以外のサービスも金融機関ごとに違っている点です。

自分にとって、最もお得な商品が何かを総合的に判断する必要があります。

リバースモーゲージの金利リスク

民間のリバースモーゲージは、多くが変動金利です。つまり金利が上昇すると、将来的に毎月の返済額が膨らんでしまいます。リバースモーゲージのリスクの一つとして、金利上昇が挙げられえることが多いのは、そのためです。また現在、金利は非常に低いため、将来的に金利が上昇する可能性がないとは言えません。

金利は景気によって変動するといった認識がある人が多いと思いますが、リバースモーゲ-ジの金利は、短期プライムレートとの関連性が強いのです。耳にしたことあるけれど、正式に何を指すのがわかりにくい「短期プライムレート」とは、銀行が最優良の企業に貸し出すときの最優遇貸出金利(プライムレート)の中で、貸出1年以内の金利を指します。

では、実際の短期プイライムレートは、どれぐらいの変動があったのでしょうか?
日銀が発表している資料によれば、2001年から2020年8月までの期間で、最も多くの銀行が採用した金利は、1.375%~1.875%の間です。しかし1991年までさかのぼれば、7%代だったこともあります。
もちろんリバースモーゲージは短期プライムレートに金利を上乗せしてあるので、短期プライムレートが上がると、それなりの金利になる可能性があります。金利上昇のリスクについては、しっかりと認識しておきましょう。

リバースモーゲージの変動金利とは

先程、リバースモーゲージの金利は、短期プライレートに連動していると関連性が強いと書きましたが、ここではもう少し詳しく説明していきましょう。
金融機関のリバースモーゲージの金利を調べてみると、短期プライムレートと連動していると書いてあるものもあります。この場合、短期プライムレートに金利を上乗せして決定していたりします。

それ以外には各銀行の住宅ローンに連動しているケースも見受けられます。この場合も住宅ローンに金利を上乗せしてリバースモーゲージの金利が決定されているのです。では、住宅ローン自体は何に連動しているのかというと、じつは短期プライムレートに連動しています。
つまりリバースモーゲージの金利は、いずれにしても短期プライムレートの変動に大きな影響を受けます。実際、近年は短期プライムレートの変動はなく、リバースモーゲージの金利も安定しているようです。

では、変動金利が固定金利と同じように考えていいかというと、そうとも言えないでしょう。

まず固定金利は金利が固定されているため、変動金利より返済計画が立てやすいというメリットがあります。ただし、そのぶん金利が高めに設定されています。どれぐらいの違いがあるのかいうと、住宅ローンであれば、変動金利が0.5%前後で固定金利が1%前後です。この金利の差が、金融機関が考える変動と固定の金利のリスクと言えるかもしれません。

ただしリバースモーゲージは、一般的に申込者は死亡時あるいは契約終了時まで金利の支払いだけなので、融資の総額にもよりますが金利変動で支払いが一気に増えるといったケースは、住宅ローンより少ないと考えられます。

国が運営するリバースモーゲージの金利

リバースモーゲージの金利については、公的に運営されているリバースモーゲージ「不動産担保型生活資金」についても触れておく必要があります。各自治体の社会福祉協議会が実施しているこのサービスは、年利3%または長期プライムレートのいずれか低い利率を採用します。2014年 7月以降、長期プライムレートは1.2%未満を維持していますので、民間のリバースモーゲージと比べれば低い利率です。

しかし不動産担保型生活資金は、あくまでも生活資金を提供して自立を支えるサービスのため、利用にはさまざまな制限が課されています。例えばサービスを使えるのは65歳以上の土地付き一戸建てを持つ人で、その土地に担保権や賃借権が設定されていないこと、さらに用途も原則、生活資金しか認められていません。
つまり旅行などの生活のゆとりに使う資金はもちろん、自宅の大幅なリフォームや住み替えなどにも使えません。

まとめ:リバースもゲージは資金活用方法に対し金利を比較することが重要

このように福祉制度としての意味合いの強い不動産担保型生活資金と民間のリバースモーゲージの中間に位置づけられるのが、住宅金融支援機構と提携する金融機関が提供する「リ・バース60」です。60歳以上の人を対象ですが、「住宅の建設や購入」「住宅のリフォーム」「サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金」「住宅ローンの借換え」など、幅広い資金の用途が認められています。リバースモーゲージですので支払いは利息だけ、申込者の死亡時に相続者の一括返済か担保物件の売買で借り入れの清算ができます。

肝心の利率は、相続人が残った債務を返済する「リコース型」が2%前後、返済の必要のない「ノンリコ―ス型」が3%前後となっています。金融機関が住宅金融支援機構の保険を利用することで、都市部以外の住宅でも用途の広いリバースモーゲージが活用できると話題となっています。

リバースモーゲージは長期の借入になるケースも多いので金利はとても重要です。ただし、どのように資金を活用したいのかといった観点も忘れてはいけません。サービス内容としっかりと調べ、さらに利率を比較することが重要です。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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