2023年3月16日
老後
【FP解説】定年退職後に失業保険を受け取れる条件や金額など雇用保険の基礎を解説

定年退職を検討している人の中には、「ハローワークに行けば、失業手当がもらえるのだろうか」と疑問に思っている人もいることでしょう。定年退職後でも失業保険を受け取ることは可能ですが、定められた条件を満たす必要があります。また、65歳以上になると、高年齢求職者給付金の対象となり、基本手当の日数等が変わってきます。定年退職後の雇用保険について、失業手当を受給できる条件や受け取れる金額、期間などを解説します。

定年退職でもらえる失業手当の条件

65歳未満で離職したなら、定年退職の場合も含め、失業手当がもらえる条件は以下の通りです。

  • いつでも就職できるのに、職を探しても就職できない「失業の状態」にある
  • 離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上ある

つまり、再就職の意欲を持ち、健康状態に申し分なく、働ける環境にあるにもかかわらず就職できていない人が対象になります。退職後、再雇用の対象などになっている人は給付を受けられません。

失業給付の基本手当は、失業前の給与によって決まります。離職日直前の6ヶ月分の給与(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した賃金日額の、およそ50%~80%(60歳~64歳については45~80%)が日額として支払われます。日額には上限額があり、毎年更新されます。

給付日数は、雇用保険の被保険者であった期間により違います。10年未満の場合は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です。受給期限は離職した日の翌日から1年間です。

65歳以上で定年退職した場合の高年齢求職者給付金

65歳以上で定年退職した場合は、高年齢求職者給付金の対象になります。条件は以下の通りです。

  • 離職日以前1年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が6ヶ月以上ある
  • いつでも就職できるのに、職を探しても就職できない「失業の状態」にある

失業給付の基本手当は、64歳未満で受給する場合と同様、失業前の給与によって決まります。離職日直前の6ヶ月分の給与(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した賃金日額の、およそ50%~80%が日額として支払われます。日額には上限額があり、毎年更新されます。

ただし、高年齢求職者給付金は給付日数が短いのが特徴です。被保険者として雇用された期間に応じ、1年未満は30日分、1年以上は50日分となります。受給期限は離職した日の翌日から1年間です。

退職後に休養したい場合

「退職後、しばらくゆっくり休養してから再就職活動を始めたい」という人も、失業手当を受けられる可能性があります。条件は、以下の通りです。

  • 60歳以上である
  • 離職日の翌日から2ヶ月以内に申請する
  • 就職を希望しない期間は1年が限度

就職を希望しない期間分が受給期間の1年に加算され、期限がそのぶん延長されることになります。

申請手続きは、以下の書類をハローワークに提出することでできます。

  • 離職票
  • 受給期間延長申請書

失業手当の申請方法

失業手当の申請方法は、以下の通りです。

在職中に書類の準備

できれば在職中に次の書類の準備をします。離職後でも書類を揃えることは可能ですが、会社とのやり取りが必要になるため、離職日までに揃えられればスムーズです。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票 1~2

ハローワークで求職の申し込みを行い、受給資格の決定を受ける

住所を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みを行った後に、次の書類を提出します。

  • 雇用保険被保険者離職票 1~2
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、住民票記載事項証明書のいずれか)
  • 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 手当振込用の本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

雇用保険受給者初回説明会に行く

指定された日時の説明会に出席します。このとき、雇用保険受給資格者証が渡されます。

ハローワークで失業の認定を受ける

初回説明会で指定された日時に、管轄のハローワークへ行って失業の認定を受けます。失業の認定とは、失業状態にあることの確認を行うことです。次の書類を提出します。

  • 失業認定申告書
  • 雇用保険受給資格者証

定年退職後は失業手当をもらいながら新たな人生をスタートさせよう

定年後は「ずっと働いていたのだから、しばらくゆっくりしたい」と考える人も、失業給付を受けられることが分かりました。長生きをすればするほど、お金がかかります。少し休んだら、第二の人生をスタートさせる意味でも、失業手当を受けながら新たな仕事を探しましょう。健康で働ける環境が整っているうちに、きちんと稼いでおくことが、ゆとりある老後につながります。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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