2025年1月6日
リバースモーゲージ
【FP解説】リバースモーゲージの利用条件とは?年齢や年収など知っておきたいこと

自宅を担保に金融機関から融資を受けるリバースモーゲージは、高い収入がなくても年金など安定した収入があれば利用が可能です。ただし年齢などに条件があります。「住宅ローンの借り換えを行いたい」「リースバックとリバースモーゲージのどちらが良いか知りたい」といったご検討をされているシニア層のために、リバースモーゲージの審査対象や利用条件、メリット、リスクについて解説します。

リバースモーゲージとは

まずはリバースモーゲージの概要や仕組み、種類についてご案内します。また、住宅ローンや、リバースモーゲージと似た仕組みとして話題の「リースバック」との違いについても解説します。

概要

リバースモーゲージとは、シニア層を対象とした融資の仕組みです。自宅を担保に金融機関から資金を借り入れます。定年後、現金収入が減ってしまう高齢者にとって、資産価値の高い財産である「自宅」を利用した資金調達法として注目されつつあります。

仕組み

リバースモーゲージにおいては、まず担保の対象物件である自宅の評価額を算出します。そして、評価額をもとに融資極度額(借り入れの限度額)が決まります。

融資の受け方は「年金方式」「一括方式」「都度方式」の3パターンがあります。年金方式では、毎月決まった金額を受け取ります。一括方式では、一括してまとまった金額を受け取ります。都度方式では、何かの都合で融資が必要になったときに、その都度必要な金額を受け取ります。

返済方法は、契約者がお亡くなりになるまでは利息のみを支払い、契約者がお亡くなりになったら相続人が担保物件を売却するなどの方法で元金を一括返金する仕組みです。契約者は、ずっと自宅に住み続けることができます。

種類

リバースモーゲージには、民間のサービスのほか、公的な制度があります。

民間のリバースモーゲージは、各金融機関が商品として取り扱うものです。金融機関ごとに対象エリアが設けられ、利用条件が違います。

公的なリバースモーゲージは「不動産担保型生活資金」という制度です。各地域を管轄する社会福祉協議会が扱っており、低所得者世帯の生活安定や経済的自立支援を目的としています。よって、低収入の世帯を対象としています。

条件が緩く多くの方が利用しやすいのは、民間のリバースモーゲージの方といえるでしょう。

住宅ローンやリースバックとの違い

住宅ローンもリバースモーゲージも、自宅を担保とする点では同じです。違いは、資金用途や返済方法にあります。

住宅ローンの資金用途は住宅関連に限られており、元金と利息を組み合わせて返済します。一方で、リバースモーゲージの資金用途は自由です。また、契約者の存命中は利息のみを返済します。よって、住宅ローンよりもリバースモーゲージの方が、月々の返済負担が軽いといえます。

リバースモーゲージと似た仕組みに、リースバックがあります。リバースモーゲージも、リースバックも、自宅を利用した資金調達法でありながら、ずっと自宅に住み続けられるのは同じです。

リバースモーゲージとリースバックの大きな違いは、自宅の所有権にあります。リースバックは自宅を売却し、買主と賃貸契約を結ぶことで家賃を払って自宅に住み続けます。よって、資金を得るタイミングで自宅の所有権を手放すことになります。

リバースモーゲージでは、契約者の存命中は自宅を担保としているだけで、所有権は契約者にあります。また、元金の返済方法としては自宅売却のほか、相続人が自己資金で返済することが可能です。よって所有権を手放さなければならないとは限りません。

リバースモーゲージを利用する場合の審査対象

金融機関にリバースモーゲージの利用を申し込むと、まずは審査があります。審査の対象となるのは、主に以下の項目です。なお、条件は金融機関によって違いがあります。ここでは、一般的な例を解説します。

年齢

契約者の年齢について審査があります。50歳以上、あるいは55歳以上が条件となります。契約開始時の年齢制限は、おおむね80歳未満です。

年収

契約者の年収については、年金など継続的に安定した収入が見込めれば審査をクリアするケースが多いでしょう。シニア層向けの融資なので、定職に就いていることは重要視されません。

形態

一戸建てでも、マンションでも、リバースモーゲージの審査対象になり得ます。一戸建てのみを審査対象とする金融機関は多いですが、フィナンシャルドゥの提供するリバースモーゲージでは、マンションを担保とすることも可能です。

所在地

各金融機関には対象とするエリアがあります。自宅をエリア内に含めている金融機関に申し込まなければなりません。

同居人の有無

配偶者以外の同居人がいる場合、利用できないリバースモーゲージがあります。契約者がお亡くなりになった後、速やかに元金を一括返済する必要がありますが、同居人が自宅の売却を拒否すると元金の回収が困難になることが予想されるためです。

ただし、フィナンシャルドゥの提供するリバースモーゲージでは同居人がいても契約することが可能です。元金の返済方法として、自宅売却のほか、相続人の自己資金やリースバックによる返済も選べるためです。

担保評価額

担保となる自宅の評価額が低いと、審査に落ちてしまう恐れがあります。基準となる金額は金融機関によって違いますが、社会福祉協議会が提供する不動産担保型生活資金においては、一般的に1,500万円以上が基準とされています(1,000万円以上であっても貸し付けが可能な場合があります)。

金融機関によっては、自宅の評価額が低くても、担保不動産を追加することで審査が通ることがあります。

リバースモーゲージの利用条件

リバースモーゲージの利用条件は、以下の通りです。

融資極度額(借入限度額)

融資極度額は、担保不動産評価額の5割から6割です。評価額がそのまま極度額になるわけではないため、注意が必要です。

返済方法

契約者の存命中は利息のみを支払い、契約者がお亡くなりになったら相続人が元金を一括返済します。元金の返済方法は、担保物件の売却によって行うのが一般的です。

ただ、相続人が担保物件を残したいと考えた場合は、自己資金での返済も可能です。フィナンシャルドゥのリバースモーゲージでは、リースバックを利用して元金の返済ができます。

担保・保証人

担保となるのは主に自宅ですが、自宅のほかに不動産を所有しているなら、自宅以外でも構いません。また、保証人を立てる必要はありません。ただし、担保物件が夫婦共有名義の場合は、契約者の配偶者を物上保証人あるいは連帯保証人として立てる必要があります。

担保となる不動産には、金融機関が第一順位の抵当権を設定します。金融機関が保証会社と提携している場合は、保証会社が保証を得られるかどうかを審査し、抵当権を設定します。

フィナンシャルドゥは、リバースモーゲージの保証会社の1つです。

利用手数料

借入手続きの際に、各種手数料が必要になります。事務手数料は数万円から10数万円が一般的です。そのほか、融資金額の1.5%から2%程度の不動産調査料がかかります。

なお、借入条件を変更したときには1万~2万円程度の手数料がかかります。

利用用途

リバースモーゲージの資金用途は自由です。生活費の補填やリフォーム代、住宅ローンの借り換え、子や孫への資金援助、海外旅行などの娯楽費などに利用できます。一部金融機関では、事業資金としての利用も可とされています。ただし、投資目的はNGとするところが多いでしょう。

リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージの主なメリットは、以下の3点です。

担保となった自宅に継続して住める

リバースモーゲージの元金返済は、契約者がお亡くなりになった後です。つまり、最後まで住み慣れた我が家で暮らせます。「まとまったお金が必要だけれど、家を手放したくない」と考えるシニア層にとって、最適な資金調達法といえるでしょう。

高齢でも融資を受けられる

一般的なローンは、高齢になると審査に通るのが難しかったり、融資金額を制限されたり、返済期間が短く設定されたりと、厳しい条件を求められます。一方で、リバースモーゲージの対象年齢は50歳以上です。おおむね80歳未満であれば、高齢であることを理由に融資を断られることはありません。

空き家対策になる

子世代に親の自宅を相続する意思がない場合、「自分亡き後、この家は空き家になってしまう」と悩む人は多いものです。空き家の管理は大変で、子世代に多大な負担をかけることになります。

リバースモーゲージを利用すれば、自宅の売却先をあらかじめ決めておくことになります。生前に空き家対策ができて安心です。

リバースモーゲージの3大リスクと注意点

リバースモーゲージはメリットの大きい資金調達法ですが、以下のようなリスクもはらんでいます。リスクを事前に理解し、注意点を把握しておきましょう。

金利上昇リスク

リバースモーゲージのほとんどが変動金利制です。金利の変動が利息に反映されるため、月々の返済金額に影響を及ぼします。金利が上昇すれば、返済金額がアップする可能性があります。

評価額下落リスク

担保物件の評価額は、一定期間ごとに査定し直されます。周囲の利便性が低下するなどして評価額が下落すると、融資極度額が減少する可能性があります。

長生きリスク

年金方式で借入を行った場合、想定以上に長生きをすると借入合計額が融資極度額に達してしまい、それ以降は借り入れができなくなる恐れがあります。

3大リスクに対応するために、なるべく必要最低額を借り入れるように心掛けましょう。年金方式を選択する場合には、月々いくらを何歳まで借り入れすれば極度額に達するかをあらかじめシミュレーションしておくのが大事です。

まとめ

リバースモーゲージを利用する際、年収面に大きな条件はなく、年金が継続的に受け取れるようであれば問題はありません。担保物件の形態や年齢、所在地など他の条件についても、クリアできるかどうか考えてみましょう。また、リバースモーゲージを利用する際にはメリット面だけではなく、リスクもしっかり把握しておくのが大事です。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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