都営住宅は、所得が低く住宅に困っている家族や単身者を対象とした賃貸住宅で、東京都住宅供給公社が募集を管理しています。毎月抽せんで募集のある「毎月募集」や、先着順で入居者が決まる「随時募集」、住宅に困っている度合いの高い世帯から入居できるポイント方式など、募集の種類はさまざまです。集合住宅に安価な家賃で入居できる都営住宅の、入居資格や申込み方法を解説します。
都営住宅とは、東京都住宅供給公社が東京都の指定管理者として管理運営する賃貸住宅です。所得が低く住宅に困っている世帯向けに、比較的安価な賃料で住宅を提供しています。ファミリーの他、単身者も申込みが可能ですが、単身者の場合は60歳以上か、身体障害者の方が対象となります。
都営住宅に入居するには、都営住宅入居者募集サイトから申込みを行うか、都庁や役所で配布されている募集案内を入手して郵送で申込みます。ただし、申込みできる住宅の種類によって募集時期が決まっているため注意が必要です。募集の種類には毎月募集、随時募集、定期募集があり、それぞれ対象となる世帯などが違います。
【都営住宅の募集の種類】
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募集時期 |
方式 |
対象世帯等 |
定期募集 |
5月上旬 |
抽せん |
家族向、単身者向、若年夫婦・子育て世帯向 |
8月上旬
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ポイント※ |
家族向 |
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抽せん |
単身者向、シルバーピア※2(単身者・二人世帯向) |
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11月上旬 |
抽せん |
家族向、単身者向、若年夫婦・子育て世帯向 |
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2月上旬
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ポイント※1 |
家族向 |
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抽せん |
単身者向、シルバーピア※2(単身者・二人世帯向) |
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毎月募集 |
毎月中旬 |
抽せん |
家族向、単身者向、若年夫婦・子育て世帯向、結婚予定者向 |
随時募集 |
通年 |
先着順 |
家族向 |
※参考:都営住宅の入居者募集等 申込み方法、使用料(家賃)、申込みから入居まで(東京都住宅政策本部)
※1ポイント方式:書類や実態から住宅に困っている度合いを点数で表し、点数が高い世帯から順に入居できる方式
※2シルバーピア(高齢者住宅):手すりや緊急通報装置といった高齢者が安心して住める設備を設置し、生活相談や団らん室などの施設が併設されている住宅
なお、都営住宅と似た言葉に都民住宅やUR住宅があります。
都民住宅は、都営住宅と同様に東京都住宅供給公社が管理運営しています。都営住宅よりも所得の高い、中間層の世帯向けに作られた集合住宅です。都民住宅には、単身者用はありません。
UR賃貸は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理運営している公的賃貸住宅です。礼金や中間手数料、更新料が不要な賃貸住宅で、所得制限はありませんが、平均月収額の下限が世帯構成や家賃によって定められています。また、ファミリー層の他、単身者でも申込みが可能です。
都営住宅には家族構成や所得などの入居条件があります。家族向け、単身者向けに分けて解説します。
家族向けの都営住宅の入居条件は、東京都内に居住していること、パートナーシップ関係にある人も含めた同居親族がいること、住宅に困っていること、申込者(同居者を含む)が暴力団員でないこと、所得条件を満たしていることです。
所得の基準は、概算で以下の通りです。60歳以上の世帯や心身障害者を含む世帯、高校修了期までの子どもがいる世帯などは、所得基準の緩和措置があります。
【所得基準表】(平成21年4月~)
給与収入(年間) |
遺留分の割合(全体) |
遺留分の割合(個人) |
0円~351万円 |
2人 |
0円~227万円 |
0円~399万円 |
3人 |
0円~265万円 |
0円~447万円 |
4人 |
0円~303万円 |
0円~494万円 |
5人 |
0円~341万円 |
※「給与収入」の欄は、家族のうち収入のある人が1人だけの場合に参照。その他の場合は、「所得金額」を参照。
単身者の都営住宅の入居条件は、東京都内に3年以上居住しており、60歳以上あるいは障害者、あるいは生活保護受給者であることです。海外引き揚げ者やハンセン病療養所入所者、配偶者などから暴力を受けた被害者などの方も、それぞれ詳細条件を満たせば対象となります。
また、家族向け同様、所得制限があります。例えば申込者が60歳以上であれば、年間所得が256万8000円以下であることが条件です。詳しくは所得基準を参考にしてください。
2016年に東京都住宅政策本部が公表した資料によると、都営住宅の負担家賃の平均額は約2万3,000円です。これは、民間の賃貸住宅の平均家賃である約8万9,000円よりもかなり安価です。
※画像引用元:都営住宅の現状【資料集】(東京都住宅政策本部)
都営住宅の家賃は、地域や住宅の広さ、築年数の他、世帯の所得によっても違います。特に家賃が安くなるのが「減免世帯」です。以下の「一般減免」もしくは「特別減額」いずれかに当てはまる世帯は、家賃が安くなります。
認定所得月額が6万5,000円以下の世帯は、家賃の10%から75%が減額されます。この場合、非課税年金も課税所得とみなし計算に入れます。
認定所得金額が15万8,000円以下の世帯で、かつ以下に当てはまる場合、該当区分の家賃の50%が減額になります。
都営住宅に住みたいと考えたときは、以下の3点に注意が必要です。
障子やふすま、ガラス、畳などの小さな修繕に対する費用は、住宅の使用者が負担します。また、工作物の設置や部屋の大規模な模様替えを行う場合は、あらかじめ申請が必要です。
家賃を3ヶ月以上滞納したときは、都営住宅を出て行かなければなりません。許可なく1ヶ月以上住宅を使用しないときも同様です。
都営住宅では、ペットが飼えません。どうしてもペット可の物件が必要な場合は、UR賃貸なども視野に入れましょう。
都営住宅には「都営住宅入居者募集サイトポータルページ」から申し込みます。サービス提供時間は午前5時30分から翌午前1時で、手順は以下の通りです。
まずは、シミュレータで入居基準を満たしているか、ざっくり確認してみましょう。世帯人数や特別控除対象者の有無、前年の所得などを入力すると、入居基準を満たしているか確認できます。
利用者登録画面より、氏名や電話番号、メールアドレスなどを入力して仮登録し、本登録に進みます。
トップページから住宅検索画面に進み、希望の条件を入力して検索します。募集時期が来ていない住宅は選べないようになっているため注意が必要です。
世帯情報などを入力して申込みを行います。内容について問い合わせや確認の電話、ハガキ通知が行われる場合があります。
抽選結果のお知らせが、メールで届きます。
募集案内や申込書は、都庁・区役所・市区町村の役所で配布されています。紙の方が安心するという人は申込書を取り寄せ、郵送で応募しましょう。
都営住宅は東京都内の一般的な賃貸住宅に比べて家賃が安いのが魅力です。ただし所得制限があるため、入居を検討しているなら昨年の世帯所得を計算し、シミュレータに当てはめてみましょう。もし基準所得を超えてしまう場合は、都民住宅やUR賃貸など、別の住宅を検討してみてください。
都営住宅を本格的に検討したいと考えている方は、以下のページを参考にしてください。