2026年6月8日
終活
【FP解説】実家の片付けを成功させる手順と費用や老後資金に変える資産活用術まで

久々に実家へ帰省したら、家が物だらけで驚いた……親が歳を重ねると、そんな経験が増えてきます。放置すれば転倒事故や遺品整理の負担増などのリスクが拡大することから、実家の片付けは「物を捨てる」だけでなく、終活のためにも大事な行為です。実家の片付けの手順や業者に依頼するときの費用相場、そして片付け後の資産活用まで、親子で後悔しないための実践ポイントをFPが解説します。

なぜ今「実家の片付け」が必要なのか?

高齢化と空き家の増加により、実家の片付けは先送りしてはいけない課題になりつつあります。先送りすることで、さまざまなリスクが生じるためです。また、片付けは親の終活の第一歩にもなります。

放置によるリスク

歳を重ね、足腰が弱まると、物を片づけることが辛く感じられるようになります。つまり、実家の片付けを後回しにすると、生活動線に物が積み上がり、親の転倒事故のリスクが高まります。高齢者の骨折は寝たきりにつながりやすく、介護負担が一気に増えるケースも少なくありません。

また、物が多いまま親が亡くなると、遺品整理に膨大な時間と費用がかかり、兄弟間で「何を残すか、捨てるか」を巡る相続トラブルに発展することもあります。片付けは、親の今の暮らしと子世代の将来の負担を軽くするための予防策なのです。

片付けは「資産整理」の第一歩

実家には、預金通帳や保険証券、土地の権利書など、さまざまな資産についての資料が眠っています。片付けを進めることで、何が資産であり、どんな物が処分対象で、何が相続時に必要な書類なのかが明確になります。

これは老後資金計画と相続対策のスタートラインです。片付けは、家族の資産を見える化する作業と捉えましょう。

親を怒らせない!実家の片付けを切り出す「伝え方」のポイント

実家に住んでいるのはあなたではなく、親です。親の物を「片付けよう」と促すには、伝え方に相当気をつけなければなりません。以下の2つをポイントにしましょう。

否定ではなく「安全性」と「快適さ」を強調する

親世代にとって、物には思い出や自分の歴史が詰まっています。「こんなに散らかっているよ」「古いから捨てたほうがいいよ」は、強い否定に聞こえがちです。
代わりに、「つまずきやすいから危ないよ」「動きやすいほうが、暮らしが楽になるよ」などと安全性や快適性を軸に伝えると、受け入れられやすくなります。

「捨てる」と言わない心理術

「捨てる」という言葉は、とても強いフレーズです。強い拒否反応を生みがちなため、「整理しようよ」「他の人に譲るのはどう?」「この中で使う物はどれ?」など、他の言葉を選ぶようにすると、「手放す」と「残す」の分別がスムーズに進みます。

実家の片付け具体的実践手順

まずは安全確保に視点を置き、次に生活必需品を整理し、最後に思い出の品を整理するという手順で行うと、心理的ハードルが下がり、負担が最小化します。

玄関・廊下から「安全な動線」を確保する

最初に取り組むべきは、家の中で最も事故が起きやすい玄関・廊下です。動線上にある段ボールや本、新聞紙などを整理し、転倒事故の原因をなくします。
玄関と廊下が整うだけでも家全体の印象が大きく変わり、親のモチベーションが上がります。

キッチン・洗面所の「期限切れ」を整理する

キッチンや洗面所は、期限切れの物が溜まりやすい場所です。「期限が切れていると危ないから、一緒に見直そう」などと声をかけると、親も納得しやすい領域です。衛生面の改善につながり、生活の質が向上します。

また、期限の切れた食品や薬を「捨てる」作業を繰り返すことで、「捨てグセ」がついていきます。あれもこれももったいなくて捨てられなかった親が、「捨てグセ」をつけることで、大胆に物を手放せるようになります。

思い出の品は「最後」に回す

写真や手紙、趣味のコレクションは、見ると感情が動きやすく作業が止まりがちです。片付けの終盤に回すことで、時間と心の余裕を確保できます。

必要なら、デジタル化も検討しましょう。コレクションや手紙なども、撮影してから手放すと、思い出だけでもデータとして残すことができます。

実家の片付けにかかる費用相場と節約術

実家の片付けを業者に依頼するといくらになるのか、気になる人もいるでしょう。業者に依頼する場合の費用目安と、自治体の粗大ごみ収集を活用する場合の費用について解説します。

業者に依頼する場合の費用目安表

実家の片付けを業者に依頼する場合、物量と部屋の広さによって費用が変わります。一般的な費用目安は以下の通りです。

間取り

費用相場(目安)

1K〜1DK

5万~12万円

1LDK〜2DK

7万~25万円

2LDK〜3DK

12万~40万円

3LDK以上

17万円~ 60万円以上になる場合もあり

中古で流通できる物があれば買い取りをしてくれる業者があります。買取料金は片付けの費用と相殺されるため、費用負担が軽くなる可能性があります。可能であれば、片付けと同時に買い取りも行ってくれる業者を探してみましょう。

自治体の粗大ごみ収集を活用したコストダウン

自治体に粗大ごみ収集を依頼すると、1点につき数百円から1,000円台に抑えられるため、業者に依頼するよりは圧倒的なコストダウンが見込めます。自治体によっては事前予約で玄関前や指定場所まで回収してくれるため、費用やルールを調べてぜひ活用しましょう。

なお、大型家具は粗大ごみに出し、細かい物は業者に依頼するといった組み合わせも有効です。

片付けた後の「実家」をどうする?賢い資産活用術

片づけてキレイになった実家には、せっかくだから親にそのまま住み続けてもらいたいと考える人は多いでしょう。ただ、「老後の資金が不安だから、家を売却してお金に換えた方がいいのでは」と悩む人も少なくありません。そんなときに使えるのが「リバースモーゲージ」という選択肢です。

売却だけじゃない「リバースモーゲージ」という選択肢

リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関から資金を借り、契約者がお亡くなりになった後に相続人が家を売却したり、自己資金で返済したりして精算する融資の仕組みです。

実家に親が住み続けながら資金を確保できる点が特徴で、キレイに片付いた家をバリアフリーにリフォームする資金を調達したり、毎月一定額を借り入れて生活費や介護費に充てたりといったことができます。

毎月の返済は利息のみなので、存命中の負担が軽いのも特徴の一つです。

住み続けながら老後資金を確保するメリット

リバースモーゲージは担保となる自宅に住みながら資金を確保できるため、「リフォームを考えているが、先立つものがない」「生涯、自宅に住み続けたいけれど、老後の資金がなく家を売却するしかない」などと悩む人に最適です。

親世代に年金以外の資金源が確保されるため、子世代の仕送り負担が軽減されるというメリットもあります。

さらに、親亡き後に空き家となった家を売却することができるというのも大きなメリットです。買主を探す間の管理費用や固定資産税を最低限に抑えられます。

まとめ

実家の片付けは、家の中を整えるだけの作業ではありません。親が安全に暮らし続けるための環境づくりであり、介護や終活、相続の準備にもつながります。

親の気持ちに寄り添いながら段階的に進めることで、日々の暮らしが軽くなるだけでなく、将来の負担や不安も大きく減らせるでしょう。親子それぞれのために、実家の片付けを、少しずつでも始めてみませんか。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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