自宅を担保に老後資金などを借り入れできるリバースモーゲージには、審査があります。自分の死後に自宅を売却すること等で元金返済を行う仕組みのため、一般的なクレジットカードや住宅ローンなどの審査と違い、審査内容が複雑になりがちです。「どんな内容を審査するの?」「条件をクリアしていれば審査に通る?」「審査機関はどのくらい?」といった、リバースモーゲージの審査に関する疑問に答えます。
リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保に老後の生活資金などを調達する仕組みで、さまざまな金融機関がシニア向けの融資商品として展開しています。毎月の返済額は利息のみで、元金は自分亡き後に自宅を売却すること等で返済するシステムなので、無理のない返済が見込めます。
リバースモーゲージの利用条件をクリアし、審査に通るのはどんな人であり、不動産であるかを、これから解説します。
リバースモーゲージの審査で重要なことは、以下の3つです。順にご案内します。
担保となる不動産が、金融機関にとって魅力ある不動産であるかどうかが重要になります。駅近であること、都市部に近いことなどは、評価額が上がるポイントです。
リバースモーゲージは老後資金を必要とするシニア向けの商品なので、50歳や60歳以上をターゲットにしていることがほとんどです。つまり、高収入である必要はありませんが、年金など安定継続した収入があることが必要です。
他にローンを抱えている場合は、現在どのくらいローンが残っていて、いつ返済可能か、計画表の提出を求められることがあります。他に多額の借金があるときは、返済能力懸念により、審査に通るのが困難になるでしょう。
一般的には契約者が亡くなった後、家の売却等を行って元金の返済を行うため、相続人と金融機関がやり取りを行うことになります。金融機関としては、返済時のもめごとは避けたいため、相続人となる子世代の意志は非常に重要です。
リバースモーゲージの審査期間や、必要書類について一例を具体的にご紹介します。
リバースモーゲージの申し込みを行うときは、まずメールや電話で「リバースモーゲージ希望」などとし、来店予約を行います。予約時に指定される必要書類を、来店日までに用意しましょう。WEBサイトで簡単な事前審査ができる金融機関もあります。
来店日には、書類と印鑑など指定されたものを持参します。担当者から説明を受け、申し込みに必要な書類に記入して審査依頼を行います。来店日に審査依頼ができることもあれば、確認の必要が生じ、後日改めて審査依頼をすることもあります。
審査期間は、およそ2週間程度です。審査が下りれば、一度金融機関へ来店し、融資限度額や毎月の借入額などについて説明を受けてから、契約書へ署名・捺印します。その後、店頭やATMで借り入れが可能になります。ATMは利用できず、店頭での借り入れのみとしているところもあります。
他には、今現在どのくらいローンが残っているか、いつ返済が終了する予定かを確認するための資料提示を求められることがあります。他にローンを抱えている人は、準備しておきましょう。
審査で重要な点をふまえると、リバースモーゲージの審査前には、以下のような準備が必要です。
付近の不動産情報を集めるなどして、自宅の評価額をある程度知っておきましょう。リバースモーゲージの融資限度額は、金融機関によって違いますが、評価額のおよそ50%なので、どのくらいの融資を受けられるのかについても、軽くシミュレーションしてみます。
他にローンを抱えていないか、聞かれることがあります。返済可能であれば、なるべく解消しておいた方が査定に響きません。
子世代にリバースモーゲージの仕組みをよく説明し、理解してもらっておきましょう。あとで「懐かしい実家を残したい」などと言われても、かないません。元金を相続人が現金返済するならOKですが、自宅の売却での返済を予定している場合は事前に説明しておくのが良いでしょう。
リバースモーゲージの審査に通るかどうかが不安であれば、早めに金融機関へ相談に行くのも吉です。リバースモーゲージの他にも、リースバックや売却など手持ちの不動産を利用する資金調達法は複数あります。「どれがよいか?」と迷っている段階から、金融機関やファイナンシャルプランナーなどお金のプロに相談し、一番良い方法を提示してもらってはいかがでしょうか。
思い出深い自宅も、今後の自分たちの人生も、等しく大切なものです。持ち家を利用せず苦しい年金暮らしをするより、また自宅を売却して安心できる住まいを失うより、ずっとわが家に住みながら現金を調達できるリバースモーゲージを検討してみましょう。