2025年1月23日
リバースモーゲージ
【FP解説】リバースモーゲージの評判は?高齢者への「罠」や「やばい」といわれる理由を解説

自宅を担保に老後資金を借りるリバースモーゲージの評判を聞いたことはありますか。「気になるけれど、リスクがあるのでは」「金利が高いなどのデメリットはないか?」など警戒している方もいらっしゃると思われます。この記事では、リバースモーゲージのメリットやデメリット、リースバックなど自宅を利用した他の資金調達方法との違いなどについて解説します。「やばい」と言われている理由を知り、じっくり検討しましょう。

リバースモーゲージの仕組み

まずは、リバースモーゲージの基本的な仕組みについて解説します。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、シニア層を対象とした、自宅を担保に金融機関から資金を借り入れる融資の仕組みです。自宅の評価額を参考に融資の限度額(融資極度額)が決められ、利用者は一括してまとまった金額を借り入れたり、限度額に達するまで毎月一定額を借り入れたりすることができます。

リバースモーゲージでは、契約者の生存中は、毎月利息だけを支払います。そして契約者がお亡くなりになったら、相続人が元金を一括返済します。

担保となっていた自宅を売却することで元金を返済するケースが多いですが、相続人が故人の家を相続したい場合、自己資金で返済することも可能です。

リバースモーゲージの条件

リバースモーゲージを利用するための条件は、金融機関によって違いがありますが、共通しているのは、対象年齢が50歳、あるいは55歳以上であることです。シニア層のための資金調達法といえます。

なお、シニア層を対象としているため、年収制限は厳しくありません。年金など継続した収入が見込めれば、十分審査対象になります。

担保となる自宅の条件は、一戸建てのみとしている金融機関もあれば、マンションも可とするところもあります。利便性の高い土地であればあるほど、評価額が高くなります。金融機関が設けている評価額の基準を満たすことが重要です。

資金用途は原則自由であり、老後の生活費や住宅ローンの借換え、リフォーム代、子や孫への援助などに使えます。事業用途であってもOKとしている金融機関もあります。

リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージのメリットは、主に以下の3つです。

ずっと住み慣れた我が家に住める

担保となる自宅に、生涯住み続けることが可能です。他の不動産担保型ローンでは返済期限が決まっているため、期限までに返済金を用意できなければ、住み慣れた家を手放さなければならない可能性があります。リバースモーゲージなら、返済期限は契約者がお亡くなりになった後のため、安心して暮らせます。

返済負担が軽い

契約者の存命中は、毎月利息のみを支払います。月々の返済に元金部分がないぶん、一般的なローンよりも返済負担が軽くなります。住宅ローンの借り換えに利用すると、返済はぐっと楽になるでしょう。年金のみを収入とする暮らしにとっては、ありがたい話です。

空家対策になる

近年、1人暮らしの高齢者が亡くなってから誰も住まなくなる空家の存在が社会問題化しています。相続人が定期的に換気する、草木を伐採するなど適切な手入れをしないと、家が荒れてしまうためです。家が荒れれば売却も難しくなります。リバースモーゲージは、最後に家を売却して元金を完済するのが一般的なので、空家対策になります。

リバースモーゲージの評判

リバースモーゲージの評判として、「罠」や「やばい」という言葉を目にする機会があるでしょう。それはなぜなのか、詳しく解説します。

リバースモーゲージが罠ややばいといわれる理由

リバースモーゲージには、リスクやデメリットがあります。これをもって「罠」や「やばい」と言われることがあるのです。しかし、どんな取引であっても融資である上はリスクやデメリットがつきもの。マイナスの要素を理解し、対策できれば怖いものではありません。まずは、リスクやデメリットの中身をよく知りましょう。

3大リスク

リバースモーゲージのリスクは、以下の3点です。

長生きリスク

毎月一定額を借り入れる場合、想定よりも長生きをすると借入総額が融資極度額に達してしまい、融資を受けられなくなる可能性があります。高齢のなか、融資を受けられず、かつ利息を支払い続けなければなりません。

不動産評価下落リスク

担保となる自宅の評価額は、一定の期間を置いて再調査されます。自宅付近の利便性が低くなったなどの事情で不動産の評価が下落したら、融資極度額もダウンし、借り入れできる金額が減ってしまいます。

金利上昇リスク

リバースモーゲージはほとんどが変動金利制です。世の中の金利が上昇したら、利息に影響する恐れがあります。つまり、月々の返済額が高くなる可能性があります。

デメリット

リバースモーゲージの主なデメリットは、以下の3つです。

借りられる金額が不動産評価額の5割から6割

融資極度額として設定されるのは、不動産評価額の5割から6割です。つまり、一般的な不動産の売買よりも、得られる金額は低くなります。

固定資産税が発生する

存命中は不動産の権利を手放さないため、毎年の固定資産税が発生します。

自宅を売却すれば相続人に土地は残らない

リバースモーゲージでは、一般的に自宅の売却によって元金の返済がなされるため、相続人に土地は残りません。もし相続人が土地を残したければ、自己資金によって返済する必要があります。

リバースモーゲージで失敗しない注意点

リスクやデメリットを踏まえ、リバースモーゲージで注意したいのは以下の3点です。

必要最低限の金額を借りる

三大リスクを回避するためには、必要最低限の金額を借りることが大事です。融資極度額いっぱいまで借り入れを行わないよう計画しましょう。年金のように毎月一定額を借り入れる場合は、何歳まで借り入れることができるのか、あらかじめしっかり確認します。

売却とリバースモーゲージのどちらがよいかじっくり検討する

家を売却すればもう住むことはできませんが、リバースモーゲージよりも多くの売却益を得られますし、それ以後は固定資産税を支払う必要がありません。何かしらの理由で自宅に住み続けたいと考えている場合には、リバースモーゲージが有効です。どちらがよいか、家族とよく話し合いましょう。

相続人との話し合いを済ませておく

リバースモーゲージの契約前には、相続人に詳しい話をしておきましょう。とくに、契約者が亡くなったら相続人が対応しなければならないこと、元金の返済方法は家の売却か自己資金での返済があることを具体的に教えておきます。

自宅を活用した老後資金の作り方

自宅を活用した老後資金の作り方は、リバースモーゲージ以外にもあります。以下の3つが一般的です。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、不動産を担保に融資を受けるローンの仕組みです。不動産を担保にする点、使い道が基本的に自由である点はリバースモーゲージと同じですが、対象はシニア層を限定としておらず、返済の期限が具体的に設けられます。条件は、取扱機関によって違います。

リースバック

リースバックは、自宅を売却し、買主と賃貸契約を結ぶことで、家賃を払って元の自宅に住むことができる売却の仕組みです。リバースモーゲージと違い、契約者の存命中に売却を終えるため固定資産税を払う義務はなくなります。また、融資ではないため、後で返済金を用意する必要はありません。

家賃が自宅周辺の相場よりも高くなる傾向にあり、長く住もうとすると家賃の総額が売却益を超えてしまう恐れもあります。「住み替えの前にまとまった資金が欲しい」という人や、「急にまとまったお金が必要になったが、後で自宅を買い戻したい」と考えている人におすすめです。

不動産売却

自宅を売却すれば、売却益を得られ、その後は固定資産税を支払う義務から解放されます。ただ、「元の自宅に戻りたい」と考えても、買い戻すのはとても難しいことです。自宅を完全に手放してもよいと思えるなら、通常の不動産売却が最も売却益を得られるでしょう。

まとめ

リバースモーゲージの評判として「やばい」「罠」という言葉を目にするとしたら、それはデメリットやリスクがあることに警鐘を鳴らしているためです。しかし、リバースモーゲージにはメリットもたくさんあります。メリット、デメリット、リスクを知った上で注意点をしっかり確認し、納得のゆく形で検討できるようにしましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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