2025年11月5日
老後
【FP解説】貯金におすすめ銀行を金利・手数料で比較

せっかくなら、大事なお金を少しでもメリットの多い銀行に預けたいものです。金利や手数料、キャンペーン、ATM利用の利便性、ポイント還元、積立制度など、銀行選びには多くの比較軸があります。特にネット銀行は、普通預金・定期預金ともに高金利や無料サービスが充実しており、資産形成に有利です。相続財産や不動産売却後の資金管理にも活用できる用途別おすすめ銀行と効率的な貯金ノウハウをFPが解説します。

銀行を選ぶための3つの評価軸

銀行を選ぶときには、「金利」「手数料構造」「利便性・付帯サービス」の3つを比較するのが大事です。それぞれ、選ぶ際のポイントをお伝えします。

金利

銀行の金利は、預ける期間や条件によって大きく異なります。普通預金は流動性を重視する短期資金に適しており、定期預金は中長期の資産形成に向いています。優遇金利の条件(給与振込や口座残高など)を満たすことで、さらに利率を高めることも可能です。

手数料構造

ATM利用料、振込手数料、口座維持費など、手数料の有無は大事な指標となります。例えばネット銀行では、一定条件を満たすことでATMや振り込みの手数料が無料になるケースも多く、ATMを頻繁に利用する人はとくに注意が必要です。

利便性・付帯サービス

ネット銀行やネットバンキング機能を有している銀行は、スマホアプリの使いやすさが重要なポイントになります。また、ポイント連携、自動積立機能、目的別に口座を分けられるサービスの有無など、日常使いの快適さも銀行選びの重要な要素です。

用途別のおすすめ銀行

銀行にお金を預けようとする期間によって、おすすめしたい銀行は変わります。

短期(1年未満・流動性重視)は普通預金重視

急な支出に備える短期資金は、いつでも出し入れできる普通預金での管理が基本です。金利は低めでも、手数料が無料だったり、ATMが利用しやすかったりする銀行を選びましょう。

中期(13年)は優遇金利+定期預金活用

日常使いはせず、1年から3年は預けたいと考えている資金には、優遇金利付きの定期預金が有効です。キャンペーン金利や条件付きの高利率商品を活用することで、安定した運用が可能になります。とくにネット銀行は1年以上を満期とする定期預金に対して頻繁にキャンペーンを実施しているところもあり、キャンペーン期間を見逃さないようにしたいものです。

長期(3年以上)は高金利・定期商品・積立口座活用

3年以上の長期的な資産形成には、高金利の定期商品や積立口座の活用が効果的です。毎月の積立で無理なく貯める仕組みを整えましょう。

長期にわたり手をつける予定のない資金があれば、投資を勧められることもあります。長期で投資を行うほど低リスクで運用できるからですが、「どうしても元本を減らしたくない」「コツコツ貯める習慣をつけたい」という方は、無理に投資をすることはありません。定期商品で安全に、地道に貯金をするのが向いています。

実際の銀行選び

ここで実際の銀行を例に出し、手数料や金利、サービス等について比較してみます。参考になれば幸いです。なお、すべて202510月現在の情報です。

楽天銀行

アプリやネットバンキング機能が充実しているネット銀行です。「ハッピープログラム」の会員ステージに応じて、出金が月最大7回、振込手数料が条件付きで月3回無料になります。

金利については、給与・賞与の振込口座に指定すると、1ヶ月ものの定期預金に金利優遇措置があります。なお、定期預金の期間限定キャンペーンが豊富です。例えば、1年・2年定期で年率がになるなどのキャンペーンがあります。

ほか、楽天ポイントとの連携が強みなので、楽天モバイルを利用していたり、ショッピングサイトの楽天をよく使ったりなど、楽天経済圏にいる人には特におすすめです。

あおぞら銀行

ネット・店舗併用型で、店舗の数は限られていますが全国対応が強みです。「ふだんはネットで手続きするけれど、ときには店舗でじっくり話を聞きたい」と考える人にもおすすめです。

また、ゆうちょ銀行ATMを利用した入出金手数料が何度でも無料で、他行あて振込手数料は月9回まで無料と、振り込み作業の多い人も安心です。

普通預金の金利(100万円まで)は年率0.5%と高水準で、高金利定期のプロモーションを行っていることもあるため、定期的なチェックが欠かせません。友人紹介プログラムといった特典も用意されています。

オリックス銀行

オリックス銀行は、日々の預金や現金の出し入れに利用できる店舗やATMがありません。運営コストを最低限に抑え、そのぶん高水準の預金金利を保つためです。よって、資金形成のための銀行といえます。

最低預入金額は「eダイレクト2週間定期預金」が50万円、「eダイレクト定期預金」が100万円と、ある程度まとまった金額から始める必要があります。ただ、金利はキャンペーンなどがなくても一定して高めな傾向があり、「すぐにでも長期運用を始めたい」と考えている人にぴったりです。

住信SBIネット銀行

スマホアプリは生体認証ログインで、ほとんどの銀行取引が可能です。ATMはアプリとキャッシュカードに対応しているのがセブン銀行とローソン銀行、キャッシュカードのみの対応となるのがイオン、ゆうちょ、イーネットとなっており、コンビニのATMで問題なく利用できます。アプリなら何度でも利用手数料が無料、キャッシュカードは一定回数(商品・サービスの利用状況により回数が決定)が無料になります。

金利に関しては目立って高金利とはいえないものの、期間限定キャンペーンが豊富なのが特徴です。定期的にチェックすれば、自分に最適なキャンペーンが見つかりそうです。

auじぶん銀行

スマホとの連携がスムーズで、ポイントや金利についてauユーザー向けの優遇制度が効きやすいという特徴があります。auユーザーにはとくに、一考の価値があるといえるでしょう。各種コンビニ等のATMで操作可能であり、商品・サービスの利用状況により、利用手数料が無料になる回数が決まります。

金利については、キャンペーンになると非常に高水準になることもあるため、新規で検討したい場合はキャンペーン情報を必ずチェックしましょう。

貯金を効率化する運用ノウハウ

貯金は、ただ1ヶ所にお金を預けるだけではなく、目的別に口座を分けて運用したり、キャンペーンを逃さず利用したりすることが、効率よくお金を増やすコツになります。どのようなノウハウが有効かを解説します。

メイン口座+貯金口座組み合わせ

生活費の出入りがあるメイン口座と、しばらくは手をつけない貯金専用口座を分けることで、格段に資産管理しやすくなります。使えるお金と貯めるお金を視覚的に分離することで、無意識の使いすぎを防止できるためです。

普通口座と定期預金に分けて利用するのが基本ですが、複数のネット銀行には、目的別口座を複数持てるサービスがあり、旅行費や教育費などの積立にも便利です。貯金の「見える化」にもなり、継続のモチベーションにもつながります。

先取り貯金・自動振替の仕組み

「余ったら貯金」ではなく、「先に貯金して残りで生活する」スタイルが、貯金成功の王道です。給与振込後に、一定額を自動で貯金口座へ振り替える設定をしておきましょう。

なお、ネット銀行や一部の都市銀行では、自動振替機能が無料で使える場合もあります。調べてみましょう。

積立定期・貯蓄預金の使い方

毎月一定額を積み立てる「積立定期」は、中長期的な資産形成に向いています。利率が契約時に固定され、途中で変動しません。ただし、中途解約すると中途解約利率のため利息が大幅に減ってしまうため、満期まで続ける覚悟が必要といえるでしょう。

貯蓄預金は、普通預金よりやや高めに金利が設定されていますが、基本的に出し入れ自由なため、「すぐには使わないけれど、完全にロックしたくない」資金を貯めておくのに向いています。

利用すべきキャンペーン・条件クリアのコツ

銀行のキャンペーンは、金利アップや手数料無料など、貯金効率を高める絶好のチャンスです。たとえば「給与振込口座として指定」「残高万円以上を維持」「スマホアプリからの取引」など、日常的な行動を少し工夫するだけで優遇が受けられる場合もあります。

ただし、条件が複雑なものや、達成に負担がかかるものは避けましょう。事前に条件を確認し、自分が無理なくクリアできるものを選びます。キャンペーンは期間限定のものも多いため、公式サイトを定期的にチェックし、タイミングを逃さず活用するのがコツです。

定期的な見直しタイミング

銀行の金利やサービス内容は、半年〜1年単位で変更されることがあります。特に優遇金利やキャンペーンは、終了後に通常金利へ戻るケースもあるため注意が必要です。

口座を放置せず、定期的に見直すことで、より有利な条件へ乗り換えるチャンスを逃さないようにしましょう。見直しを、貯金を効率アップするメンテナンスとして習慣づけます。

注意点とリスク管理

貯金にはリスクも伴います。優遇金利の条件変更や流動性の確保、口座の分散など、安心して続けるための注意点を押さえましょう。

優遇金利の条件変更リスク

銀行の優遇金利は、キャンペーンや特定条件によって一時的に設定されていることが多く、予告なく変更される場合があります。たとえば「給与振込口座に設定」「残高万円以上」などの条件が改定されると、金利が下がる可能性も有るため、注意が必要です。

契約時だけでなく、継続的に条件を確認することが重要です。特に長期で預ける場合は、金利の安定性も選定基準に加えましょう。

流動性確保の重要性

貯金は「使わないお金」だけでなく、「いつでも使えるお金」も含めて設計することが大切です。急な医療費や生活費の不足に備え、普通預金など流動性の高い口座に一定額を残しておくと安心です。

金利優遇キャンペーン等に惹かれ、定期預金に相当な金額を預けてしまうと、いざというとき身動きできない状況になることがあります。貯金の一部は「すぐに動かせる」状態で保つことが、リスク管理の基本です。

分散しておくメリット

複数の銀行口座を使い分けることで、金利や手数料、サービスの違いを活かしながら、リスクを分散できます。たとえば、ひとつの銀行でシステム障害が起きた場合でも、他の口座が使えれば生活に支障が出ません。

また、目的別に口座を分けることで、貯金の使途が明確になり、管理もしやすくなります。口座の分散は、安全性と効率性の両立につながります。

まとめ

貯金を成功させるには、「金利」「手数料」「利便性」の3つの軸で銀行を選び、用途に応じた口座設計が不可欠です。銀行の特徴をつかんで賢く預金先を選び、安心かつ効率的な資産形成を目指しましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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