2025年11月5日
老後
【FP解説】現金を郵送できる?違法性・安全性・代替手段を徹底解説

現金書留や郵便為替を使えば現金の送付は可能ですが、普通郵便では原則NGです。きちんとした手段で送付すれば、荷物の損失や盗難があったときには損害要償額が返ってきます。ただ、専用の封筒を使うことや、料金がかかることなど、注意点もあります。本記事では、郵便局のルールや、郵便局からの送付ができないときの代替手段もまとめて解説します。現金の送付方法に迷っている人は、ぜひお役立てください。

現金を郵送できるのか?基本ルールを確認

現金を郵送するには、法律や日本郵便の規則に従った方法を選ぶ必要があります。普通郵便では送れないため、現金書留など正しい手段を理解しましょう。

日本郵便の規則:現金は普通郵便で送れない

郵便法第17条により、現金を普通郵便で送ることは禁止されています。そのため、現金を含む郵便物を普通封筒に入れて送るのは、法的にもマナー的にもNGです。

現金書留なら送付可能な理由

日本郵便では、現金を送付する場合に専用で利用する「現金書留」が用意されています。専用封筒はのし袋も入るため、お祝いやお見舞い金を送るときも利用可能です。

現金書留には補償と追跡がつく仕組みで、損害要償額の設定もできます。最大50万円まで補償されますが、送付する現金額を超えて申し出ることはできません。

現金を郵送するリスクと違法性

現金送付に当たっての法的な規制や、補償なしのリスクを知っておきましょう。正しい方法を使わなければ、トラブルの元になりかねません。

郵便法における禁止事項と罰則の可能性

現金を普通郵便で送ることは郵便法に違反します。もし現金書留以外の方法で現金を郵送すると、書留にかかる料金を不正に免れたとして、郵便法841項により30万円以下の罰金に処される可能性があります。

第八十四条(料金を免れる罪)不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する。

出典:郵便法

普通郵便で現金を送るとどうなる?盗難補償なしの現実

もし普通郵便で現金を送ると、追跡サービスも補償サービスも使えないため、荷物の紛失や盗難の際に救済されません。実際、現金書留に比べてリスクが飛躍的に高く、安心できる方法とはいえません。

安全に現金を送る方法

現金を安全に届けるにはどんな手段があるか、具体的に見ていきましょう。

現金書留の特徴

現金書留は、郵便局の窓口にある専用の封筒を利用して現金を送付します。利用料金は送付する現金額によって違い、料金表は以下の通りです(20259月現在)。

【現金書留にかかる料金】

専用の封筒代

21円

利用料金

480円(基本料金※に加算)

さらに5,000円ごとに+11円(上限50万円)

※基本料金は送付物の重さによって異なる

出典:書留(郵便局)

レターパックや宅配便での送付は不可?

レターパックや宅配便では現金の送付は認められていません。これらは現金専用の補償制度がありません。

銀行振込や送金サービスを使う代替手段

現金送付のリスクを避けたいなら、銀行振込や郵便為替が代替手段となります。特に郵便為替は現金を証書化して送付でき、受取人は窓口で換金可能です。送付額に手数料を添えて郵便局へ申し出ると、申出金額の普通為替証書が発行されます。証書を受取人に送ると、受取人は郵便局で証書と引き換えに現金を受け取れます。

【郵便為替の料金(20259月現在)】

為替の種類

手数料

備考

普通為替

5万円未満:550

5万円以上10万円以下:770

取り扱いは証書1枚につき10万円以下。再交付は有効期限経過でも無料の場合あり

定額小為替

一律:200

送金額に応じて、50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円の12種類の定額小為替証書を発行

参考:普通為替(ゆうちょ銀行)

   定額小為替(ゆうちょ銀行)

海外に現金を送る場合の注意点

国際的には、現金の送付に対してさらに厳しい規制があるため、注意が必要です。

国際郵便での現金送付禁止と制裁

国際郵便では、現金や通貨は発送禁止の対象です。送金したお金が犯罪の資金になることを防ぐためでもあり、法律や条約により厳しく制限されています。もし国際郵便で送金したら、郵便法違反として罰金の対象になる可能性があります。

国際送金サービスの利用

海外送金が必要な場合は、銀行の送金サービスや、海外送金事業者を使うのが安全です。郵便局でも、ゆうちょ銀行の口座を使った口座間送金が可能です。外国の受取人の振替口座または銀行口座へ入金します。

海外への送金サービスを行う事業者は多くあるため、送金先の国、金額、届けたい日にちなどを勘案して利用するサービスを決めましょう。セキュリティ面も、比較したい大事な事項です。

現金を郵送せずに済む現代の方法

キャッシュレス時代には、郵送以外の手軽な送金方法も充実しています。

キャッシュレス送金の活用

PayPay、LINE Payなどのスマホ決済サービスを使えば、送金も即時に、低コストで安全に行えます。現金の発送そのものを回避できる現代的な選択です。

サービス名

送金方法・特徴

PayPay

PayPay残高をスマホで個人間送金。利用には相互にアプリ必要。

LINE Pay

LINEの友だちに対して送金可能。LINEアプリが必要。

楽天ペイ(楽天キャッシュ)

楽天会員間で残高を送金可能。楽天ポイントの活用も可能。

au PAY

au PAY残高を個人間で送金可能。au以外のユーザーも利用可。

d払い(d払い残高送金)

ドコモユーザー以外もdアカウントで個人間送金可能。

メルペイ

メルカリ運営。「おくる・もらう」機能でメルペイ残高やポイントを1円単位で送金可能。

Kyash

Kyash残高もしくはVisa経由で個人に送金可能。

銀行間即時振込の普及で郵送不要な時代へ

相手の銀行口座番号を知っていれば、即時振込サービスの普及により、指定時間帯なら送金が瞬時に反映されます。振込手数料も低く、現金を動かす必要がないため、安全で便利な手段といえます。早急に相手へ現金を送りたい場合、まずは銀行振込を検討しましょう。

まとめ

現金を郵送する場合は、必ず郵便局が定める現金書留や郵便為替などの正しい方法を利用しましょう。普通郵便での送付は法的にも禁止されており、盗難や紛失のリスクも高く、トラブルになった場合の補償もありません。

海外送金や高額のやり取りであれば、銀行や送金サービスを活用するのが安心です。さらに、キャッシュレス送金や即時振込など、郵送そのものを不要にする選択肢も広がっています。大切なお金を安全に届けるために、自分と相手に合った方法を理解し、正しく活用していきましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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