2025年11月5日
老後
【FP解説】35歳で貯金1000万円は少ない?将来設計のポイントを解説

35歳で1000万円という貯金額は、決して少なくはありません。しかし十分であるかどうかは、家族構成やライフプラン、居住地、年収などによって違ってきます。平均貯金額や貯金額の中央値を確認したうえで、これから迎えるライフイベントや、必要な生活費・教育費・住宅ローン・老後資金などを踏まえた将来設計をご案内します。また、年収や支出に応じた資産形成や、将来を見据えた資産運用の考え方についても解説します。

35歳の貯金額の平均と比較

日本の35歳は一体いくら貯金しているのか、気になる方のために、まずは35歳の平均貯蓄額をご紹介し、「35歳で貯金1000万円は多い?少ない?」について考察します。

35歳の平均貯蓄額と中央値

融経済教育推進機構が継続して行っている「家計の金融行動に関する世論調査」で、年代別の貯金事情が分かります。2024年の調査では、以下のような結果が出ています。

【年代別の平均金融資産保有額※】

年代

平均金額

中央値

20歳代

212万円

26万円

30歳代

604万円

140万円

40歳代

929万円

200万円

50歳代

1,147万円

200万円

60歳代

1,929万円

550万円

70歳代

1,830万円

650万円

※金融資産保有額…預貯金だけでなく、保険、個人年金、債券、株式、投資信託等も含めた金融資産の全体額

出典:家計の金融行動に関する世論調査(2024年)総世帯各種分類別データ

35歳を含む30歳代では、金融資産保有額の平均額が604万円、中央値が140万円。つまり全体を平均すると604万円となるものの、分布を見ると実際には140万円ほどの金融資産しかない人が多い結果となりました。

35歳で貯金1000万円は多い?少ない?

35歳で貯金1000万円は、統計的に見れば「多い」といえます。ただし、評価はライフスタイルによって異なります。

たとえば、未婚・単身であれば十分な額ですが、今後結婚や出産、住宅購入を予定している場合は、これからの出費に備える必要があります。家族を持つと、教育費や住宅ローン、生活費が増えるため、貯金の計画も再設計する必要があります。

貯金1000万円を将来に生かす方法

35歳で貯金が1000万円あるなら、貯金だけでなく資産運用を検討して将来に生かすのがおすすめです。1000万円という金額は、35歳にとって数年のうちに使い果たしてしまうようなものではないでしょう。1000万円のうち、すぐには必要でない金額を「余剰資金」とみなし、元手となるお金を増やすことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

資産形成の基本とリスク分散

資産形成の基本的な考え方について解説します。

貯金だけではなく資産運用を検討する重要性

日本では現金・預金に資産を集中させる傾向がありますが、インフレや金利の変化を考えると、資産の一部は運用に回すことが将来のリスク分散になります。例えばNISAのように、少額から始められる非課税制度を活用して資産形成を図るのは、節税のためにも、リスクが比較的低い投資信託から資産運用をスタートするという意味でもおすすめです。

株式、債券、投資信託などの基本的な選択肢

投資信託を「比較的リスクが低い」と前述しました。資産運用には様々な選択肢があります。投資信託は1つの会社などに投資するのではなく、複数の投資先に少しずつ投資する仕組みのため、リスクを抑えつつ分散投資が可能です。

投資市場への理解を深めて動向をつかめた頃に、1つの会社に大きく投資する株式や、国や会社の債券を購入することを検討するという流れが堅実と言えます。また、複数の資産運用を行って、ポートフォリオを組むのも大事です。ポートフォリオとは金融資産の構成を表したもので、どのような資産をどれくらいの割合で持つかを示します。リスク分散のため、定期的にポートフォリオを作成して資産運用のバランスを見直しましょう。

ライフイベントに備える貯金プラン

35歳にとって、今後のライフイベントとして考えられるのは、教育費、住宅購入、老後資金です。よってこれからご紹介する数字は、「夫婦2人で支出しなければならない金額」とお考えください。自分一人で貯蓄しなければならないと考えると、とても大変だからです。

文部科学省などのデータによれば※、幼稚園から高校卒業までにかかる学校教育費、学校給食費、学校外活動費などの学習費用は子ども1人あたり全て公立の場合約596万円、全て私立の場合約1,976万円であり、大学4年間の教育費用はおよそ600万円です。

令和5年度子供の学習費調査(文部科学省)、 教育費に関する調査結果(2021年12月20日発表)(日本政策金融公庫)

住宅購入には頭金として最低でも数百万円〜1000万円が必要で、老後資金としては、夫婦2人として定年後の生活費を考えると1500万~2000万円は準備しておきたいところです。これらの支出を見越した長期的な計画が求められます。

具体的には、教育費用であれば学資保険の利用が挙げられます。学資保険は子どもの年齢が18歳などになるまで定期的に積み立てを行う仕組みで、途中解約すると元本割れのデメリットがありますが、契約者である親が亡くなるとそれ以降は保険料の支払が免除されるメリットがあります。家計がどのような状況になっても子どもの未来を守りたいという人におすすめです。

住宅購入については、頭金を自分で支払える人もいれば、親などから援助してもらう人もいます。「親からの援助は避けたい」と住宅購入を遅らせると、ローン返済期間を短く設定せざるを得なくなり、毎月の支払いが厳しくなる可能性もあります。住宅購入の意思があるなら、なるべく早めの家族会議がおすすめです。

老後資金については、老後に給付される国民年金と厚生年金に頼るだけでは、もはや心もとない状況です。iDeCoなどの私的年金制度を活用して、老後の資金を確保する必要があります。

家計管理と無駄を省く方法

35歳の方々のライフスタイルはさまざまで、単身か、夫婦2人か、子どもがいるかなどで家計管理や無駄を省く方法はそれぞれ異なります。そんななかでも共通して言える、2つの家計管理術をお伝えします。

先取りで「ほったらかし貯金」を

最もおすすめなのが、給与の中から先取りで貯金をしてしまうことです。積立預金、私的年金、学資保険など定期的に定額が引き落とされる仕組みを利用して、「このお金には手をつけてはならない」金額を、自分の手元から隠してしまいましょう。

お金の「見える化」で安心感を得る

家計簿アプリやスプレッドシートなどを使って、月々の収支や貯金額、将来の目標額を見える化しましょう。将来への不安が軽減され、計画的な資産形成につながります。また、視覚的に確認できることで、モチベーションも保ちやすくなります。

ライフプランを含めたシートをつくるのが難しければ、ファイナンシャルプランナーなどお金のプロに依頼して作成するのがおすすめです。

将来の安心感を得るための行動指針

教育資金、マイホームのための資金、そして老後資金など、「用意しなければならない資金がたくさんある」と不安になる人もいるでしょう。将来の安心感を得るためには、定期的な資産の見直しや、補助金制度の確認が不可欠です。

定期的な資産見直しと目標設定

年齢やライフステージによって、必要な貯金額や資産の内訳も変わってきます。年に1回程度は現在の資産状況を見直し、目標額とのギャップをチェックしましょう。また、「結婚したとき」「子どもが生まれたとき」「マイホーム購入を考え始めたとき」など、ライフイベントがあるごとに、目標額の見直しを行うのが大事です。

見直しや目標設定は、自分一人で行うのではなく、パートナーと共に行いましょう。「なぜこの金額が必要なのか」を2人が理解し、足並みを揃えることが、貯金の成功に繋がります。

公的年金や補助金制度の確認と活用方法

自分が将来いくら年金をもらえるのかは、気になったときに随時「ねんきんネット」を活用して確認してみましょう。収入や加入期間といった条件を入力することで、年金見込額が試算できます。

なお、自治体によっては一時的に給付金が支給されたり、お買い物チケットの形で配布されたりすることがあります。特に子育てが始まる世帯は、出産手当金や育児休業給付金、児童手当のほか、自治体から一時的に子育て世帯へ給付がある場合もあるため、郵送物をしっかり確認するようにしましょう。

引っ越しを行ったときは、引っ越しした自治体が移住者向けに定住奨励のための給付金を支給していないかどうかを確かめましょう。住宅を取得するか否かなど、条件によって給付金額が違うおそれもあります。引っ越しを考えたらすぐに、引っ越し先の自治体のサイトで確認するのがお勧めです。

まとめ

35歳で1000万円の貯金は、平均と比べても十分な額といえます。しかし、それが「足りている」と言い切れるかどうかは、これからのライフイベントや支出に応じた将来設計次第です。

大切なのは、今あるお金をどう守り、どう増やしていくかという視点です。家計の見直し、資産運用の活用、ライフプランに沿った貯金計画など、今からできることを積み重ねて、安心できる未来を築いていきましょう。

奥山晶子

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ファイナンシャルプランナー2級の終活関連に強いライター。冠婚葬祭互助会勤務の後、出版業界へ。2008年より葬儀・墓・介護など終活関連のライター業務を始める。終活業界や終活経験者へのインタビュー経験多数。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある。
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