
国民年金の免除や猶予、学生納付特例を受けた期間は、後から追納することで老齢基礎年金を増やせます。追納できるのは原則10年以内で、3年度目以降は加算額が上乗せされるため早めの確認が重要です。本記事では、日本年金機構での手続き方法や追納申込書の書き方、納付書での支払い方法、社会保険料控除による節税メリットまで、年金事務所に行かずにできるやり方も含めてわかりやすく解説します。
国民年金の追納とは、単なる未納ではなく「免除」「猶予」そして「学生納付特例」が承認されていた期間の保険料を、後から支払う制度です。追納すると、その月分が保険料納付済期間として扱われ、年金の受給額が増える仕組みになっています。老後の年金額を底上げできる重要な制度のため、仕組みと期限を正しく理解することが大切です。
追納できるのは、承認された免除や猶予の期間のうち、過去10年以内の分のみです。10年を過ぎると、その月分は追納できなくなるため、早めの確認が欠かせません。
免除や猶予を受けた翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合、当時の保険料に加算金(ペナルティ)が上乗せされます。(例:令和3年度の免除分を令和6年度に追納する場合、加算額が上乗せ)。
早く追納するほど負担が軽くなるため、期限管理が重要です。
令和8年に追納する場合、保険料額は以下の通りです。
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全額免除・納付猶予、学生納付特例 |
4分の3免除 |
半額免除 |
4分の1免除 |
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平成28年度の月分 |
16,850円 |
12,630円 |
8,420円 |
4,210円 |
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平成29年度の月分 |
17,070円 |
12,800円 |
8,530円 |
4,260円 |
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平成30年度の月分 |
16,900円 |
12,670円 |
8,450円 |
4,220円 |
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令和元年度の月分 |
16,950円 |
12,720円 |
8,470円 |
4,240円 |
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令和2年度の月分 |
17,070円 |
12,800円 |
8,530円 |
4,260円 |
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令和3年度の月分 |
17,110円 |
12,830円 |
8,550円 |
4,270円 |
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令和4年度の月分 |
16,990円 |
12,740円 |
8,490円 |
4,250円 |
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令和5年度の月分 |
16,770円 |
12,580円 |
8,380円 |
4,190円 |
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令和6年度の月分 |
16,980円※ |
12,730円※ |
8,490円※ |
4,240円※ |
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令和7年度の月分 |
17,510円※ |
13,130円※ |
8,750円※ |
4,380円※ |
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令和8年度中に追納する際の保険料額 |
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※追納加算額はありません。
追納は、古い月分から順番に支払う必要があります。任意の月を選んで支払うことはできないため、届いた納付書の順番に従って納付します。
ただし、免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間がどちらもある場合は、納付する順序について年金事務所に相談しましょう。
追納には「老後の年金額が増える」「税金が安くなる」という、家計に直結する2つの大きなメリットがあります。追納がどのように家計を助けるのか、具体的に解説します。
追納した期間は「納付済期間」として扱われ、老齢基礎年金の受給額が増えます。年金は一生涯受け取るため、長生きするほど追納の効果は大きくなります。
例えば、一年分を追納すると、納付猶予・学生納付特例期間の場合は老後の年金が年間で約2万円、全額免除の期間であれば約1万円増えることになります。
追納した保険料は、その年の社会保険料控除の対象となり、 所得税・住民税が減額されます。節税効果が高く、実質的な負担を軽減できる点が大きなメリットです。
例えば、年間保険料を10万円追納した場合、追納した10万円は、その年の社会保険料控除の対象になります。
所得税率は所得金額がいくらかによって税率が違いますが、もし所得税率が10%の場合、以下のような計算になります。
所得税の節税額:10万円 × 10% = 1万円
住民税の節税額:10万円 × 10% = 1万円
合計2万円の節税
つまり、10万円払っても、実質負担は8万円になる計算です。
年金追納の手続きは、以下の3つのステップで完了できます。
まず自分がいくら追納できるのか、期限が迫っている月がないかを「ねんきんネット」の画面から確認します。
ねんきんネットにマイナンバーカードなどでログインします。マイナンバーカードでログインすると、マイナポータルの画面が表示されるため、「おかね」のカテゴリにある「年金」をクリック。続いて「最新の情報を確認」をクリックすると、「ねんきんネット」の画面に戻ります。
「年金記録を確認する」タブをクリックし、次に表示される画面の「詳細な年金記録を確認する」の中から、「年金額をさらに増やせるか確認する」を選んでクリックします。すると、納付が可能な月数と、その金額が表示されます。
参考:ねんきんネット
追納は電子申請ができませんが、画面で入力した申込書をダウンロードし、郵送することが可能です。
「ねんきんネット」のトップページ上にあるバーから「届け書を申請する」を選択し、「国民年金保険料追納申込書」を選んで「作成する」をクリック。必要事項を入力し、入力が完了したらダウンロードして印刷します。
印刷した届け書を、近くの年金事務所へ郵送します。窓口への提出も可能です。
承認後、納付書が自宅に郵送されます。支払い方法は、金融機関、郵便局、コンビニ、Pay-easy、スマホ決済アプリです。
追納は口座振替・クレジットカード納付は不可なので注意しましょう。
追納は支払って終わりではありません。年末調整や確定申告で追納したことを申告し、税金負担を軽減しましょう。
追納後、日本年金機構から「国民年金保険料控除証明書」が届きます。これは、追納した金額を社会保険料控除として申告するために必要な大切な書類です。
会社員の場合は、年末に勤務先から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に、追納した金額を記入し、控除証明書を添付して提出します。提出すると、会社が年末調整の中で税金の計算をやり直してくれるため、追納分の節税が自動的に反映されます。
念のため、追納したことを総務・経理の担当者に一言伝えておくと安心です。
年末調整に間に合わなかった会社員や、自営業者の方は、翌年2月から3月に自分で確定申告を行います。追納した保険料は「社会保険料控除」として申告することで、所得税・住民税の控除を受けられます。
確定申告書Bの「社会保険料控除」欄に、 日本年金機構から届いた「国民年金保険料控除証明書」に記載されている金額を記入します。控除証明書は申告時に提出(または電子申告で添付)するため、必ず保管しておきましょう。
年金の追納は、老後の年金額を増やし、節税効果も得られる実質的な資産形成です。ただし、追納できるのは過去10年以内で、加算額がつく前に手続きすることが重要になります。
追納額はねんきんネットで早めに確認し、必要書類を揃えて進めれば、郵送でもスムーズに完了します。どんな世代でも、家族の老後資金を考えるうえで知っておきたい制度です。
